ぽけの入院日記【11日目】※手術当日
※手術終わってから集中治療室出るまではスマホ触れなかったので後日談になります。
出来るだけ手術時のことを詳細に書きたいと思います。
4月13日手術の日。不思議とこの日は手術の直前まで眠れた。昨日寝る前は現実逃避でひたすらスマホをつついていたが、、。
今日は朝食が出ないので朝起こされなかった。
起きて時間を見ると8時、血栓予防とやらのソックスを履き、手術着をきて時間を待つ。手術後は個室に移動するので荷物は看護師さんが移動させやすいようできるだけまとめておく。
8時20分、看護師と担当医がやってきた。担当医に不思議な質問をされる。
「今日の手術部位はどこですか?」
『え、、あ、背中、、です、、?」
自信なさげに答えたが正解だったようだ。なんでも患者が手術内容をちゃんと理解しているか確認しなければならないらしい。ついでに背中にペンで手術部位をマーキングされる。
そして服装や体調を確認後、歩いてオペ室へ向かう。オペ室に入る前にいくつもあるオペ室を管理する受付のような所がある。そこで名前を言うと10番のオペ室へ案内された。
10番に着くとオペ看と呼ばれるオペ室専属の看護師さんが数人いた。名前を確認後すぐにオペ室へ入らされる。
オペ室の真ん中にヒト1人分の小さなベッドがある。そこに腰掛けると再び名前を確認される。病院では当たり前の規則のようで何かをするたびに毎度名前やタグを確認される。
確認が終わるとベッドに横になるよう指示をされる。横になると早速点滴を打つらしく左手の手の甲を消毒しだした。、、、手の甲!?
そう思ったが時すでに遅し。グサッと手の甲に注射針が刺される。病気のせいで左手は感覚が鈍っているがそれでもイタイ。手の甲はイタイよ、、。
点滴のあとは心電図やパルスメーターをパパッとつけられ酸素マスクをつけられる。酸素が流れているためかひんやりとした風が流れてくる。
するとオペ看の1人が突然
「流したい音楽とかあります?」
と聞いてきたがモチロンわたくし予習済み。
散々ネットで調べた結果そういうことがあるのを知っていたので、ちょっとびっくりした様子を見せつつ
「ひ、平原綾香のじゅ、ジュピターをお願いします…。」と完璧な受け答え。
それを聞いたオペ看は多少笑いながら曲をかけてくれました。
エ-ブリデ-イアイリッスントゥ-マイハ-ヒ-トリジャ-ナ-イ-♪
なぜかわからんがこの曲が落ち着くのでこれにした。ほんとは灯火の星を流したかったけどそこまでの勇気はありませんでした。
曲が始まるとオペ看が手術の説明をしてくれた。
「これから麻酔を点滴から流します。麻酔をながすとあっという間に意識がなくなります。反射を防ぐため筋弛緩剤もかけるので筋肉が動かなくなり呼吸が止まります。そのため麻酔にかかったのを確認した後、喉に人工呼吸器を取り付けます。術後麻酔から覚醒した後、自発呼吸が出来ているのを確認して指示した身体の部位を動かせれば人工呼吸器を外します」と。ちなみに人工呼吸器はそこそこ太く、麻酔から覚醒した時に喉の苦しさに驚く人が多いらしい。怖いな。。
「それでは麻酔を流します。眠くなるお薬を入れていきます。薬が入ってくる時ちょっと腕が熱くなったり痛くなることがありますよー」と言う。
え?もう?麻酔??意識落ちる?
いやいや、緊張でドキドキが止まんねえし、ソワソワして眠たくなる気配なんてゼロなんですけど、、
なんか腕痛くなってきたな、、
え?これ?10数えるやつ??いーち、、、、
『、、さーん。ぽけさーん。終わりましたよ〜!』
!!!!??
え?ん?
手術は??ココはドコ?
え???理解が追いつかない。
俺はいつ寝た?いつ受け答えをした?
いつ人工呼吸器を抜いた??
そもそも執刀医の顔すら見てないぞ、、、
マジで知らないうちに手術が終わったことになっている。首を横に向けると時計があった。時間は17時半だ。手術が8時半開始なので気がつくと9時間経っていた。体感は2秒だが。
長引けば夜中までかかると先生は言っていたので順調に手術が終わったみたいだ。
正直手術が終わったという事がいまだに理解ができないがよくよく体を見回してみると至る所に管がついている。グロイ。右腕の前腕に1つ、左腕の内側の手首と手の甲に1つずつ、背中から血を吸い取るドレーンが1つ、そして俺のMiiファイターにドドンと管が繋がっている、、、あまりの衝撃に気を失いそうである。
近くにいた麻酔科の先生によるとここは集中治療室(ICU)と言うところで術後の患者がある程度回復するまでここで麻酔の投与や身の回りの世話などつきっきりで管理するらしい。
左手にはナースコールのボタン、右手には痛み止めを自分で追加投与できるボタンを握らされた。しかし今はそこまで痛みを感じない。術後すぐでまだ意識がボーっとしているみたいだ。
幸い声は枯れていなかったが声を張る体力もない。なにより昨日の夜7時から丸一日ほど水分もとっていないので喉がカラカラだ。。。
「ミ..ミ..ミズ.ヲクダサイ...」と先生にいうと透明な急須のようなものに氷水をいれて飲ませてくれた。
気管に入ってむせるのが怖かったのでゆっくりと少量ずつ飲む。
、、う、、うま、、うまい、、泣
まるで砂漠を彷徨った後に見つけたオアシスの水のように甘美な味に感じた。これはマジ。
そのままボーッと体を休めると定期的に痛みが襲ってくる。その度にカチカチと痛み止めを追加していく。痛み止めを追加しては寝て、寝ては痛みで起きての繰り返しだ。
そうこうしていると10時過ぎに痛み止めが切れたので別の種類の痛み止めに変更された。どうも同じ種類の薬を連続投与はできないみたいでインターバルが必要らしい。次使えるのは夜中の1時以降だという。
新しい痛み止めに変えてから暫くすると痛みが強くなってきた。徐々に痛みは強まり耐え切れないほどの痛みがお腹を刺激する。たまらずナースコールを押した。麻酔科の先生に症状を話すと最初に使ってた痛み止めは医療用の麻薬で効果が強いものだったが今使っているものは普通の痛み止めで効果が少し弱いらしい。そんなものではこの痛みには耐えられない。なにしろ背骨を削り脊髄を切っているのだ。身体の芯までズッキンズッキン痛む。妊婦の陣痛もこれほど辛いのだろうかとここで思う。
見かねた麻酔科の先生が例の麻薬を比較的安全なやつに調合して1時間はやめて投与してくれた。そんなことができるのか?と思ったが出来ているのでもう何でもいい。早く投与してくれぇ!!
麻薬に戻してから10数分すると痛みが引いてきた。薬一つでこんなに効果が違うのかと実感する。そうしていると先生から忠告をされた。
「この薬は強力だけど使いすぎると吐き気を催したり頭痛を起こしたりするからボタンを押しすぎないようにね」と。
「…分かりました。カチカチ」
そうは言われても痛みには変えられないのだ。
ここで自分が実感したのは
麻酔なし、痛み止めなしで出産をする妊婦さんたちは本当に精神力、忍耐力が凄いと思った。こっちは痛み止めをしていても気を失うほど痛かったのに、、。改めて嫁さんには頭が上がらないなと思う。
痛みが落ち着いてくると先生が体温を測り出した。先生の反応を見るに高熱だったそうでアイス枕を3つほど持ってきて頭と脇腹と股関節を冷やしてくれた。ここに太い血管が流れていて冷やすならここが効率的らしい。ほえー。
痛みもほぼ止まりアイス枕のひんやりした冷たさで気持ち良くなりようやく寝付けた。気がつけばもう2時である。寝れる時に寝る!これは体力回復の鉄則である。知らんけど。
しかしちょいちょい身体機能のチェックで起こされる。後遺症として他の部位に痺れや運動障害が出てないかチェックしているそう。幸い元々痺れていた左腕以外は変化なさそうではあった。再び寝る。今日は朝から急に夕方にワープして体感半日しか過ごしていないが体はフルマラソンを走った後かのようにグッタリ疲れていた。フルマラソン走ったことないが。
麻酔が覚めてきて俺のちん○ん、いわゆるMiiファイターに繋がれたカテーテルに違和感を覚えるが今は気にしない。なにしろ抜くときは激痛らしい。考えたくもない。今は抜かないのだから。
真の地獄はここかららしい。また明日の投稿をお楽しみに。。。