ぽけの入院日記【17日目】

今日も腕のピクつきで数回起きたがなんとか朝まで寝ることができた。朝食を終えると再び眠りについた。予定もないので。

しばらくすると部屋の移動をした。また大部屋に戻るらしい。思ってた以上に患者の入れ替わり多くめまぐるしく人が変わっていく。数日で退院する人もいるらしい。

昼前になるとリハビリの人がやってきた。また世間話をしながらひたすら院内の廊下を往復する。趣味でゴルフをやっているらしい。大人だ。とても趣味はスマブラですとは言えなかった。悲しい。

順調に体も回復しているみたいで昨日よりもスムーズにたくさん歩けた。歩行器ももう必要ない。明日から階段の登り下りをするらしい。ちょっと怖い。

リハビリを終えると昼飯の時間だ。今日は珍しく大当たりでおかずは鰹のたたきだった。高知に生まれて良かったと思える数少ない瞬間である。久しぶりに完食した。

ふと退院が近づくにつれて退院する際の諸々の料金が気になったので軽く計算をした。高額医療における限度額申請というものをしているのでおそらく医療費そのものは6桁もいかないはずだ。ただ入院中の食費代が意外に高い。一食一律で460円するらしい。値段だけ見るとそうでもないがあれだけ質素なメニューなのに460円と考えると割りに合わない。まぁ人件費や管理費なども当然あるだろうがそれでも高い。ここで利益を出しているのもあるのだろう。

その後は足のエコー検査に呼ばれた。なにやら手術で空気にさらされた血液は固まりやすいらしく、その血の塊が体内にできていないか検査するらしい。部屋まで案内されるとベッドに横になった。するとエコー検査の機械で足をぐりぐりされた。妊婦検診でゼリー状のなにかを塗ってお腹をぐりぐりして赤ちゃんの様子を確認するアレである。初体験。

検査が終わった後は売店に寄り飲み物と割り箸を購入した。コロナ禍だからなのかお箸やスプーンは各自で用意する必要がある。煩わしい。しかも当然飲み物は配布されないので自分で購入しないといけない。便秘気味のときはしっかりと水分補給をとらないといけない。それに喉が渇く度に自販機へ行かないといけない。高い、、、。

病室へ戻ると予約していたお風呂の時間になった。一昨日、介助浴で教わったコルセット着用者のお風呂の入り方を真似てお風呂に入る。四六時中コルセットを着けていると逆に外すと不安になる。背骨は曲がらないだろうか、、。

コルセットを外して病衣も脱ぐと驚いた。胸は汗で赤く荒れ、背中は傷口が膿んで汚れている。お風呂を済ますと看護師にその事を伝え確認してもらった。胸は様子見で背中の傷口はクリームを塗って防水テープを貼り直してもらった。傷口からの感染症は絶対に避けたい。絶対に。

それらを終えると夕食の時間になった。おかずはミートボール。だが、ほとんど野菜でミートボールは3個のみ、、。肉が食べたい、、。

夕食を終えるとYouTubeを開いた。粘土でリアルなポケモンの人形を作る動画を見る。これは自分で出来る様になるための勉強である。

というのも嫁さんのコス撮用の小道具を作る為である。昔から手先が器用だったこともあり初めは嫁さんに頼まれて小道具作りをしていたが今では楽しくて自分から作りたくなってしまっている。なにより嫁さんが珍しく喜んでくれるので嬉しい。喜ぶ顔を想像しながら小道具をコツコツと作る。

 

最近は体も回復してきてまた元気が戻ってきた。左半身の痺れは月単位、年単位で改善していくものなので今は相変わらずだが、この体にも慣れているので、あとは四肢がピクつく睡眠障害さえ無くなればと思う。

明日も今日よりも元気になっている事を祈る。グンナイ

ぽけの入院日記【16日目】

今日も夜中数回起きた。寝ようとすると手足が定期的にピクピク力が入ってしまう睡眠障害のせいだ。先生が言うには脊髄空洞症の症状の一つじゃないかと言うがどうなのだろう。

痛みなどはないが寝たくても寝れないというのは非常につらい。しかし嫁さんも子供の夜泣きで寝れてないのであろう。早く帰らねば。

朝になり朝食を食べる。食欲が湧かないのでなかなか完食できない。

昨日嬉しいことにTwitterで同じく脊髄空洞症の方からリプライがあった。このブログを読んでくれているらしく少しなりとも参考になっているそうだ。嬉しい。

珍しい病気ということもありネットでの情報も少ない脊髄空洞症について少しでも有益な情報を発信したい。

11時になるとリハビリの作業療法士理学療法士?がきた。院内を一キロほどゆっくり歩いた後軽く足のストレッチをして終了。体験した者なら分かってくれると思うが術後は驚くほど体力がない。軽く動くだけで息切れしてしまう。なんならベッドの上で体勢を変えるだけでも疲れる。これはマジ。

昼飯を終えると夜十分に寝れなかったので軽く仮眠をとった。幸い1時間ほど寝れたようだ。

しばらくするとなんか気持ち悪くなってきたので体温を測ってみた。37.5℃。微熱だ。何故かは知らないが術後は定期的に熱が出るらしい。気休めに看護師さんからアイス枕をもらった。ひんやり気持ちいい。

4時になると上の子のお迎えの時間なので嫁さんに電話をかける。可愛い子供たちの顔と嫁ちゃんの顔をビデオ通話で拝んで元気が出る。

病室へ戻り夕食の時間。気分が優れないので食べるとすぐに横になった。アイス枕を冷えピタ代わりに額に乗せる。

入院中長く家族と離れていると情緒が不安定になる。寂しい。嫁と子供に会いたい。離婚した後の夫婦ってこんな心境なのだろうか。こんな時、嫁さんから連絡が来るだけで嬉しくなる。家族の有り難みが身に染みる。どれだけ迷惑をかけてもどれだけスマブラが弱くとも支えてくれる嫁がいればそれで救われる。そんな事を思う一日だった。おしまい。

ぽけの入院日記【15日目】

今日も部屋を変えてもらったおかげで朝まで寝る事ができた。数回身体の痛みで起きたが昨日よりはマシだった。

朝食を食べ終えると歩行器をやめて車椅子を貸してもらった。これは病室で椅子として使うためでもある。正直コルセットを四六時中着けていると横になっている方がしんどい。座り続けている方が体勢は楽なのだ。

朝の内服薬を飲むと早速トイレへ向かう。便秘薬のおかげでここ数日の便秘が嘘のように快便である。💩は出すに限る。

痛みも多少マシになってきた。今日ならシャワーをようやく浴びれそうなので看護師に伝える。予約を取ってくれた。ありがとう。

お昼ご飯も7割ほど食べれるくらいに食欲も回復してきた。お昼を食べ終わると2人部屋のうち片方が空いているのでその部屋に移動してくれるらしい。助かる。

移動を終えるとお風呂の時間になった。初日は1人で入る事はできないのでレクチャーを受ける。ギリ20代の男性看護師さんがやってきて背中と頭を洗ってくれた。ついでに世間話もする。看護師も大変な職業そうだ。

4日ぶりのシャワーに心が生き返る。油ぎった頭皮も回復し多少健康な見た目に戻った気がする。

シャワーを終えると嫁神様が差し入れを持ってきてくれた。逆転裁判5やらのソフトと飲み物とパンツがあった。ありがたや、、泣

久しぶりに嫁の顔を見て心が落ち着いた。持つべきものは友であり嫁である。嫁ちゃん今日も麗しい。

夕食を終えると早速逆転裁判5をする。新キャラ登場にテンションがあがる。今度は女の子が主人公みたい。オドロキくん立派になったな、、、泣

今日は四国で最も盛ん?なヒメブラがあったらしい。あとでYouTubeをおってみよう。

今日は少し気分が晴れた1日だった。

嫁さんにワンオペで2人の育児と家事任せてしまっているので早く退院したい、、

ぽけの入院日記【14日目】

今日も朝食と同時に7時に起床。

ではなく、むしろ12時すら跨いでいない。

寝れない。痛みもあるが隣のバクオングのイビキのせいだ。あり得ないくらいうるさい。まるで獣の檻の中のようだ。むしろ隣のバクオングのせいで周りの患者は全員寝不足だろう。

こんな時のためにイヤホンを持ってきているのでYouTubeで雨の音でも流しながら寝ようと思うが、いくら充電してもすぐに充電が切れる。このクソバカクソクソイヤホンは肝心な時に壊れてしまった。せめて耳栓の代わりに使おうと思ったがまるで効果がなかった。このバクオングのイビキはティガレックス並みだ。

体が痛いが鞭を打って病室をでる。とても部屋にはいられないので談話室へ行ってみる。ワンチャンここで寝ようかなと思ってみたが流石に今の身体では無理だった。コルセット巻き巻きの上半身バキバキ人間なので。

仕方なく院内を深夜徘徊していると見かねた看護師が空き部屋を案内してくれた。寝る間だけ使わせてくれるそうだ。イビキのトラブルはけっこう多いらしい。

そんなこんなでようやく夜が明けた。

術後は身体の痛みと睡眠障害でめちゃくちゃにしんどい。病は気からと言うが気持ちから折られてしまう。

朝になり朝食が運ばれるが半分ほどしか食べれなかった。手術をしてから一回も便が出ていない。これ以上お腹に便が溜まるのが怖かったので食欲が湧かなかったのだ。一向に便が出る気配がないので仕方なく浣腸をする流れになった。

浣腸、した事はないが、想像では直接けつの穴に注入するやつだ、、恐ろしいが腹痛には変えられない。

トイレに案内され軽く便座に腰掛けるように言われると思った通りブスリと穴に何かを刺された。何かわからないが液体のようなものを注入される。

!?

ヤバ!出そう、、!

効果は即現れたが5分ほど便意を耐久しなければいけないらしい。

、、、無理だった。

2分が限界。浣腸のことを思い出すと今でも穴がヒクヒクしてしまう。恐ろしい薬だ。

浣腸をした結果多少便は出せたがなにしろ中途半端なところだったので出し切れなかった。俺は悪くない。耐えられるひといるのか、、?

病室へ戻るとCT検査によばれた。お腹の謎の痛みについての検査だ。検査はすぐに終わったが何かするたびにコルセットを外して着けてを繰り返すのが非常につらい。CTで見た限りでも異常は無いらしい。。。

病室へ戻るとバクオングが起きていたので仮眠を取ることにした。正直なところご飯を食う気力もなければスマホをつつく気力もない。身体も動かせないしバクオングはうるさいしで発狂しそうになる。

お昼もあまり食べれなかった。

ただようやく便秘薬が効いてきたのか💩がついに出てきた。心なしか謎の腹痛もマシになってきているようにも感じる。まだまだ痛いが。

とにかく気力が出ないのでひたすらボーッとしている。YouTubeを見てもすぐに疲れるし気分も乗らない。無気力人間になり夜を迎える。

晩御飯はある程度食べれるようになってきた。

晩御飯のあとは処方される胃薬と下剤と痛み止めを飲む。実際の効きはわからないが薬を飲んだと言う事実で心が救われる感じがする。末期。

今日から介助浴の予定だったが到底出来そうになかったので明日からにしてもらった。代わりにおしぼりのようなもので体を拭いてもらった。痛い。けどありがとう。

とことんやる気が起きないので日記もこの辺りにする。スマホをつつくのも辛い。

ぽけの入院日記【13日目】

7時。朝食が運ばれ目が覚める。

ハッキリ言って体は痛いし全く食欲は湧かない。だが食べるのも身体のためだと思いなんとか食べる。

朝になると点滴が切れたようでこれからは錠剤の痛み止めを使うらしい。効果は弱まるが徐々に体も回復しているので大丈夫らしい。ほんまか、、?

朝食をたべ薬を飲みとりあえずトイレに向かう。相変わらずしゃっくりが続くがいちいち気にしていられない。トイレ往復するだけでこんなに辛いとは、、。

トイレから戻るととりあえず寝る。

痛み止めが効いてくるまで体を動かす気にはならない。

10時になると何故か個室から4人部屋にまた戻された。個室は限られているらしい。若者はさっさと大部屋へ戻る。

するとまたリハビリの先生がやってきた。今日は病院内を200mほど歩くらしい。いきなりやりすぎですよ先生。

歩行器を使いヨチヨチと歩く。先生も病院内では若めの32歳なので世間話をしながら歩く。

25歳で子供が2人いることを告げるととても驚いていた。まぁ誰しも同じ反応をする。ちなみに授かり婚(デキ婚)をしたわけではなく、単に結婚した歳が早かったため子供も必然と早かったのだ。結婚した歳は21歳だった。

男性は特に結婚年齢が遅いと言われるが個人的には相手に不安がなければ結婚を決意するのは早かろうが問題無いと思う。むしろ婚期と相手を逃す方がよっぽど大変だ。まぁ人それぞれだとは思う。ちなみに子供は2人ともめちゃくちゃに可愛い。どれくらい可愛いかというとめちゃくちゃに可愛い。自分の子供補正もあるがやはり子供は可愛い。チートである。

入院を通して2度も出産をしてくれた嫁さんに感謝と敬意を感じながらリハビリを終えた。

 

4人部屋に戻ると最悪のことに隣の患者のイビキがとんでもなくうるさい。爆音である。とてもじゃないがベッドにいられないので再び歩行器を持ち廊下へ出る。

一応会社に連絡を入れておく。手術の経過くらいは連絡しておかねばならぬ。

ある程度時間を潰した後病室へ戻ると隣のバクオングは起きていた。良かった。

病室へ戻るともうお昼の時間である。

おかずは刺身だった。当たりなのだがやはり食欲は湧かない。ここまでくると何が来ても食欲は湧かないと思う。

昼飯を終えると大逆転裁判を進める。ちなみに手術の前夜に一章はクリアしていた。実は。

世界観が従来のものとまるで違うがこれはこれでコレである。なんとか世界観に馴れてきた。

とにかくその続きをやる。ヒマなので。

しかし途中からお腹が痛くてそれどころでは無くなった。右の下腹部が触れるだけでズキズキと痛む。なんだこれ、、、。

看護師に伝えると痛み止めを追加で投与した後レントゲンをとることになった。

車椅子に乗せられレントゲン室へ向かう。

レントゲンを撮り終えるとまた病室へ戻る。

ついでにトイレに寄ってもらった。

ちなみに手術の日から一向に便が出ない。力むと体が痛いので力めないしなによりコルセットがきつく力めない。それにもともと便秘体質だ。

便を諦めベッドで横になっていると整形の先生がやってきた。レントゲンに異常はないそうでとりあえず便秘薬を出し便を出して様子を見てみるとのこと。不安だ。

夕食はカツだった。普段なら大喜びするところだが術後は何もかも気分が落ち込む。夕食を終えると歯磨きをする。歯磨きのコップまで看護師が洗ってくれる。申し訳ない。。

今日はあとで便秘薬を飲み便を出してみる。

その様子を見て治ればハッピー治らなければ明日も死んでいることだろう。

日記をつけるのも辛いのでこの辺りで。

健康が1番だとほとほと思う。

ぽけの入院日記【12日目】

手術が終わり術後の痛みを薬でなんとか乗り切りようやく眠りにつく。しかしそれも束の間、隣から獣のような怒声が聞こえて目が覚めた。

『ウオオ!オンドリャア!』

隣の部屋にガノンドロフがいる。

先生に聞くと認知症のおじいちゃんが隣のICUにいるらしく、認知症でわけがわからなくなっているらしい。ちなみに割とよくあることだそう。地獄絵図。

あまり暴れると鎮静剤で落ち着かせられるそうでしばらく経つと静かになった。

再び眠りに入るが定期的に身体チェックをされるので深くは寝付けない。足首を曲げたり足を浮かしたりバンザイしたり、痺れが悪化してないかも細かくチェックされる。

そんなこんなを繰り返し朝になる。

7時になると例の如く朝食が運ばれる。正直食欲は湧かなかったが36時間ぶりの食べ物はなんとか喉を通った。効果の強い痛み止めを使っていたので吐き気を催す危険があるらしいが気持ち悪くなることは特になかった。

体を動かす気にもならなければ何かをする気にもならなかったが集中治療室用のスマホがあるらしくそれでYouTubeでもどうですかと看護師に勧められたので一応そうすることにした。特に見たいものもなかったがとりあえず全身麻酔について調べてみた。自分もこんな感じで意識がオチたのだろうか。記念に動画でも撮ってもらいたかったものだ。

尿道カテーテルから溜まった尿を交換されたら色々しているとお昼になった。集中治療室では基本的につきっきりで看病してくれるので案外気持ちは楽だった。対応も迅速である。

昼飯も集中治療室で食べた。麻酔もしっかり効いていたのであまり辛くはなかった。昼飯がなんだったかイマイチ覚えてない。昼飯を食べるとようやく集中治療室を抜け病室に戻れた。術後は個室に案内されるらしい。ヤッタネ。

トイレが目の前にある個室に移動した。

トイレまで歩行器で行けると尿道カテーテルが外されるらしい。どうやら試されているそうだ。けれども無理はしたく無いのでとりあえずベッドで安静にしていた。何事も少しずつじっくりとだ。

そう思っていたのに突然リハビリの先生がやってきてこう言った。

「とりあえず立って歩行器で歩いてみましょうか。」

ええ、早くない、、?と思ったがリハビリは早い方がいいらしい。指示されるがままになんとか起き上がり歩行器を掴む。3分ほどかけ、ようやく立ち上がる。キツい、、。

ヨチヨチ歩きで部屋を出ると目の前にトイレがある。トイレを往復できることを確認するとまた病室に戻った。ここでリハビリの先生から提案をされる。

「一応今の段階でおしっこの管抜くことも出来るけど、、どうする?」

 

え、、究極クエスチョンだ、、ここで『抜きます!』と即答できるのはまさに勇者だろう。

抜くのは早いに越したことはないが、いざ今から抜くと思えば気がひける。いや、腰が引ける。どうするどうする。と思っていると見かねた先生が「ヨシ抜こうか!」と決めた。何を勝手に。。。

しかしこうなったら後には引けない。せめてもの想いでこう告げた。

「い、1番、上手な人を、お願い、します、、。」

なんと惨めなお願いか。

しばらくするとベテランぽい男性の看護師がやってきた。顔つきは非常に神妙な面持ちだったためこっちまで緊張してしまう。

「今からおしっこの管をぬきます。痛いか痛くないかで言えば、まぁ痛いと思います。なるべく一瞬で抜きますので覚悟してください。」

ひ、ひぇ、、お願いします、、。

ぬ、抜くときは抜くって言ってよね!!

ここでとーまさんの言葉を思い出す。

尿道カテーテルはマジでヤバいです。』

ゴクリ。覚悟は決まった。

 

看護師が言う。

「…抜きます。」

「………ッ!!」

 

ズボズボズボッ!

 

い、、いってええええ、、、けど、、

一瞬だった、、、。

出産を鼻からメロンが出る痛みと例えることがあるが、この痛みを例えるなら尿道の中を熱せられたビー玉が駆け抜ける痛み。かな。

とにかく熱を感じた。膀胱であっためられていたのだろうか。そして抜くときは瞬間的な激痛が走るが抜いてしまえば後に引く痛みはなかった。幸い尿道にも傷が付かず排尿の際にも痛みはなかった。排尿する時めちゃくちゃ怖かったが。

カテーテルの試練をこえ一安心したところで再び眠りについた。

寝過ぎかと思うかもしれないが術後は本当に体力が無いし、なによりやることも無い。とにかくヒマだ。だから寝る。カテーテルで心も体も疲れた。

暫くすると先生がやってきた。術後の傷口を確認するらしい。横向きになり体につけられているコルセットを外す。いて。いたい。

背中にはドレーンと呼ばれる血を排出する?管が入っているそうでどうもそこが痛む。背中は見えないが想像するだけで気持ちが悪いので見たくもない。

傷口の確認が終わると先生は去っていった。明日からドレーンがのき、点滴も無くなり、リハビリが始まるそうだ。術後は急にスパルタである。若者はさっさとリハビリする方が回復するらしい。

夕食が届く。おかずは牛丼だった。食欲はあまりない。というより体を少し起こすだけでも辛いのでご飯を食べるのも辛い。その後歯磨きするのも辛ければトイレに行くのはもっと辛い。

無理をすれば点滴内を血が逆流してしまう。

あまり腕に力を入れてもいけない。

トイレに行く体力は無かったのでとりあえず寝た。体は痛むが起きておくよりはマシだった。

幸い個室なので隣の患者のイビキや騒音の被害は無く快適だった。

夜9時ころトイレで目が覚めた。痛み止めがまだ効いていたので歩行器を使ってなんとか1人でトイレに行けた。

ところが目が覚めてからしゃっくりが止まらなくなった。これは神経を触ったことによるものらしくしばらく様子を見ないといけないらしい。しゃっくりが止まる気配はない。

なかなか寝付けず横になっていると知らぬ間に寝ていた。

しばらくするとまたトイレで目が覚めた。点滴は尿として排出されるので頻繁にトイレで起きる。もう朝か??体内時計がバカになっているので時間の感覚がわからない。スマホを見てみると夜中の1時半だ。勘弁してくれ、、。

ガチガチの身体に鞭を打ちなんとかトイレに行くとまたしゃっくりが再発した。辛い。寝れないのも辛いがしゃっくりのたびにお腹が傷むのがもっと辛い。

無理矢理横になり1時間ほどかけてなんとか寝つく。しかしまた4時に起きた。またトイレだ。でも今度は痛み止めが切れているようで体が動かせない。いたい。辛い。どうしても立ち上がれなかったので仕方なくナースコールを押す。

「にょ、尿器をお願いします。。立てなくて、、」

男性の看護師が尿器を持ってきてくれた。

寝ながら排尿をする。とても楽だ。

少し罪悪感を覚えるが尿器を看護師さんに回収してもらいようやく眠りにつく。

今日も大変な1日だった。。

そう思い次は朝まで寝れることを願った。

 

P.S手術は一瞬。術後の苦しみはしばらく続く。むしろ術後が本当の地獄だった。

ぽけの入院日記【11日目】※手術当日

※手術終わってから集中治療室出るまではスマホ触れなかったので後日談になります。

出来るだけ手術時のことを詳細に書きたいと思います。

 

4月13日手術の日。不思議とこの日は手術の直前まで眠れた。昨日寝る前は現実逃避でひたすらスマホをつついていたが、、。

今日は朝食が出ないので朝起こされなかった。

起きて時間を見ると8時、血栓予防とやらのソックスを履き、手術着をきて時間を待つ。手術後は個室に移動するので荷物は看護師さんが移動させやすいようできるだけまとめておく。

8時20分、看護師と担当医がやってきた。担当医に不思議な質問をされる。

「今日の手術部位はどこですか?」

『え、、あ、背中、、です、、?」

自信なさげに答えたが正解だったようだ。なんでも患者が手術内容をちゃんと理解しているか確認しなければならないらしい。ついでに背中にペンで手術部位をマーキングされる。

そして服装や体調を確認後、歩いてオペ室へ向かう。オペ室に入る前にいくつもあるオペ室を管理する受付のような所がある。そこで名前を言うと10番のオペ室へ案内された。

10番に着くとオペ看と呼ばれるオペ室専属の看護師さんが数人いた。名前を確認後すぐにオペ室へ入らされる。

オペ室の真ん中にヒト1人分の小さなベッドがある。そこに腰掛けると再び名前を確認される。病院では当たり前の規則のようで何かをするたびに毎度名前やタグを確認される。

確認が終わるとベッドに横になるよう指示をされる。横になると早速点滴を打つらしく左手の手の甲を消毒しだした。、、、手の甲!?

そう思ったが時すでに遅し。グサッと手の甲に注射針が刺される。病気のせいで左手は感覚が鈍っているがそれでもイタイ。手の甲はイタイよ、、。

点滴のあとは心電図やパルスメーターをパパッとつけられ酸素マスクをつけられる。酸素が流れているためかひんやりとした風が流れてくる。

するとオペ看の1人が突然

「流したい音楽とかあります?」

と聞いてきたがモチロンわたくし予習済み。

散々ネットで調べた結果そういうことがあるのを知っていたので、ちょっとびっくりした様子を見せつつ

「ひ、平原綾香のじゅ、ジュピターをお願いします…。」と完璧な受け答え。

それを聞いたオペ看は多少笑いながら曲をかけてくれました。

 

エ-ブリデ-イアイリッスントゥ-マイハ-ヒ-トリジャ-ナ-イ-♪

 

なぜかわからんがこの曲が落ち着くのでこれにした。ほんとは灯火の星を流したかったけどそこまでの勇気はありませんでした。

曲が始まるとオペ看が手術の説明をしてくれた。

「これから麻酔を点滴から流します。麻酔をながすとあっという間に意識がなくなります。反射を防ぐため筋弛緩剤もかけるので筋肉が動かなくなり呼吸が止まります。そのため麻酔にかかったのを確認した後、喉に人工呼吸器を取り付けます。術後麻酔から覚醒した後、自発呼吸が出来ているのを確認して指示した身体の部位を動かせれば人工呼吸器を外します」と。ちなみに人工呼吸器はそこそこ太く、麻酔から覚醒した時に喉の苦しさに驚く人が多いらしい。怖いな。。

「それでは麻酔を流します。眠くなるお薬を入れていきます。薬が入ってくる時ちょっと腕が熱くなったり痛くなることがありますよー」と言う。

 

え?もう?麻酔??意識落ちる?

いやいや、緊張でドキドキが止まんねえし、ソワソワして眠たくなる気配なんてゼロなんですけど、、

なんか腕痛くなってきたな、、

え?これ?10数えるやつ??いーち、、、、

 

 

 

『、、さーん。ぽけさーん。終わりましたよ〜!』

 

!!!!??

え?ん?

手術は??ココはドコ?

え???理解が追いつかない。

俺はいつ寝た?いつ受け答えをした?

いつ人工呼吸器を抜いた??

そもそも執刀医の顔すら見てないぞ、、、

 

マジで知らないうちに手術が終わったことになっている。首を横に向けると時計があった。時間は17時半だ。手術が8時半開始なので気がつくと9時間経っていた。体感は2秒だが。

長引けば夜中までかかると先生は言っていたので順調に手術が終わったみたいだ。

 

正直手術が終わったという事がいまだに理解ができないがよくよく体を見回してみると至る所に管がついている。グロイ。右腕の前腕に1つ、左腕の内側の手首と手の甲に1つずつ、背中から血を吸い取るドレーンが1つ、そして俺のMiiファイターにドドンと管が繋がっている、、、あまりの衝撃に気を失いそうである。

 

近くにいた麻酔科の先生によるとここは集中治療室(ICU)と言うところで術後の患者がある程度回復するまでここで麻酔の投与や身の回りの世話などつきっきりで管理するらしい。

 

左手にはナースコールのボタン、右手には痛み止めを自分で追加投与できるボタンを握らされた。しかし今はそこまで痛みを感じない。術後すぐでまだ意識がボーっとしているみたいだ。

 

幸い声は枯れていなかったが声を張る体力もない。なにより昨日の夜7時から丸一日ほど水分もとっていないので喉がカラカラだ。。。

「ミ..ミ..ミズ.ヲクダサイ...」と先生にいうと透明な急須のようなものに氷水をいれて飲ませてくれた。

気管に入ってむせるのが怖かったのでゆっくりと少量ずつ飲む。

、、う、、うま、、うまい、、泣

まるで砂漠を彷徨った後に見つけたオアシスの水のように甘美な味に感じた。これはマジ。

 

そのままボーッと体を休めると定期的に痛みが襲ってくる。その度にカチカチと痛み止めを追加していく。痛み止めを追加しては寝て、寝ては痛みで起きての繰り返しだ。

そうこうしていると10時過ぎに痛み止めが切れたので別の種類の痛み止めに変更された。どうも同じ種類の薬を連続投与はできないみたいでインターバルが必要らしい。次使えるのは夜中の1時以降だという。

新しい痛み止めに変えてから暫くすると痛みが強くなってきた。徐々に痛みは強まり耐え切れないほどの痛みがお腹を刺激する。たまらずナースコールを押した。麻酔科の先生に症状を話すと最初に使ってた痛み止めは医療用の麻薬で効果が強いものだったが今使っているものは普通の痛み止めで効果が少し弱いらしい。そんなものではこの痛みには耐えられない。なにしろ背骨を削り脊髄を切っているのだ。身体の芯までズッキンズッキン痛む。妊婦の陣痛もこれほど辛いのだろうかとここで思う。

見かねた麻酔科の先生が例の麻薬を比較的安全なやつに調合して1時間はやめて投与してくれた。そんなことができるのか?と思ったが出来ているのでもう何でもいい。早く投与してくれぇ!!

麻薬に戻してから10数分すると痛みが引いてきた。薬一つでこんなに効果が違うのかと実感する。そうしていると先生から忠告をされた。

「この薬は強力だけど使いすぎると吐き気を催したり頭痛を起こしたりするからボタンを押しすぎないようにね」と。

「…分かりました。カチカチ」

そうは言われても痛みには変えられないのだ。

 

ここで自分が実感したのは

麻酔なし、痛み止めなしで出産をする妊婦さんたちは本当に精神力、忍耐力が凄いと思った。こっちは痛み止めをしていても気を失うほど痛かったのに、、。改めて嫁さんには頭が上がらないなと思う。

 

痛みが落ち着いてくると先生が体温を測り出した。先生の反応を見るに高熱だったそうでアイス枕を3つほど持ってきて頭と脇腹と股関節を冷やしてくれた。ここに太い血管が流れていて冷やすならここが効率的らしい。ほえー。

痛みもほぼ止まりアイス枕のひんやりした冷たさで気持ち良くなりようやく寝付けた。気がつけばもう2時である。寝れる時に寝る!これは体力回復の鉄則である。知らんけど。

しかしちょいちょい身体機能のチェックで起こされる。後遺症として他の部位に痺れや運動障害が出てないかチェックしているそう。幸い元々痺れていた左腕以外は変化なさそうではあった。再び寝る。今日は朝から急に夕方にワープして体感半日しか過ごしていないが体はフルマラソンを走った後かのようにグッタリ疲れていた。フルマラソン走ったことないが。

 

麻酔が覚めてきて俺のちん○ん、いわゆるMiiファイターに繋がれたカテーテルに違和感を覚えるが今は気にしない。なにしろ抜くときは激痛らしい。考えたくもない。今は抜かないのだから。

 

真の地獄はここかららしい。また明日の投稿をお楽しみに。。。